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完成した香川大の地域型研究拠点「芸術未来研究場せとうち」。目の前に瀬戸内海が広がる=2024年8月9日午後2時36分、高松市庵治町、熊谷徹也撮影
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 香川大が、瀬戸内エリアの地域型研究拠点として高松市庵治町に整備した施設が完成し、9日に開所式があった。

 施設の名前は「芸術未来研究場せとうち」。目の前に瀬戸内海が広がる鉄骨3階建ての建物に、ギャラリーやアトリエ、スタジオを備える。

 目指すのは、アートと科学技術の融合だ。香川大は東京芸大との連携を進めており、香川大の研究によって浮かび上がった海の環境問題や地域の課題を、芸術を通して発信して人々に訴えかけ、問題や課題の解決につなげる。施設はその拠点となり、研究者や学生、企業や自治体関係者らのワークショップやイベントに活用する。

 開所式で、文部科学省科学技術・学術政策局の井上諭一局長は「自然豊かな環境にいるだけで、太陽や空気、波から何らかの波動を感じて色々な発想が生まれる。自然に囲まれると、地球を意識して何かをやらなくてはと、イノベーションが生まれる」と期待を述べた。

 香川県の池田豊人知事は「瀬戸内海は私たちの財産。アートの力は瀬戸内国際芸術祭を通して、思い知った。香川大の科学技術とかけ合わされることで、何を生み出すか楽しみ」と語った。

 香川大は、マイクロプラスチック(海ごみ)など海洋環境の研究を進めている。

 現代美術家で、東京芸大の日比野克彦学長は「海の中は見えない。見えないと関心がなくなり、関係がないと思いがち」とした上で、「科学や研究は、それを数値化してエビデンスを示す。一方、アートは人々の心を動かす。見えないものを見えるようにするのが、アートは得意」と述べ、科学と芸術を組み合わせて社会の課題解決に取り組む意義を語った。(熊谷徹也)

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